映画「静かな生活」

映画「静かな生活」は、1995年に公開された伊丹十三監督の作品です。原作は大江健三郎で、彼は伊丹監督の義弟にあたります。本作では渡部篤郎が障害を持つ青年の役を好演し、日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞するなど、渡部の名を世に知らしめた作品となりました。映画内の音楽を大江健三郎の実子・大江光が担当したことでも話題になりました。この映画は興行的には失敗に終わり、伊丹作品の中ではあまり一般に知られていませんが、大江の原作の素晴らしさもあり、非常に良い作品となっています。

他の映画はともかくこの映画だけは見た方がいいです

あらすじ

絵本作家を目指すマーちゃんの家族は、作家であるパパ、やさしいママと弟のオーちゃん、そして音楽の才能に恵まれながらも脳に障害を持つ兄のイーヨーの五人でした。ある日、家長としての威厳がないというプレッシャーに耐え切れなくなったパパは、オーストラリアへ長期出張にでることにします。ママも「パパが限界なの」と着いていってしまう始末。こうしてマーちゃんは弟と障害者の兄を一手に引き受け、留守を守ることになってしまいます。パパはイーヨーの“エネルギーを発散させるため”に水泳でも習わせたらと進めます。マーちゃんはイーヨーに付き添って水泳教室に通いますが、そこで一生懸命指導をしてくれる新井君に出会います。障害者の兄にも分け隔てなく熱心に指導してくれる様子に好感をもったマーちゃんは、パパに電話でこの事を話します。楽しそうに話を聞いていたパパでしたが、「新井君」という名前を聞いたとたんに態度が急変します。パパはマーちゃんに「新井君とは絶対に二人きりで会うな」と強く言い聞かせます。実は新井君はパパの元教え子で・・・。

キャスト

スタッフ

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大江光について

大江光は原作者・大江健三郎の実子であり、この物語のモデルとなった人物でもあります。知的障害がありますが、幼少時から野外の鳥の声を正確に聞き分けて鳥の名前を当てたり、クラッシク音楽に極めて強い関心を示したりしたことから、11歳のときピアノの教師・田村久美子からレッスンを受け始めます。13歳からは作曲も始め、作曲理論を加羽沢美濃に師事します。1992年10月に発表した最初のCD「大江光の音楽」と1994年9月にリリースした第2集「大江光ふたたび」が日本ゴールドディスク大賞を受賞しました。1996年には「静かな生活」の音楽を担当し、日本アカデミー賞優秀音楽賞を受賞しました。父の大江健三郎は光をモデルにした作品を多く書いており、生まれたときの苦悩を描いた「個人的な体験」や「新しい人よ眼ざめよ」など、様々な作品にキーパーソンとして登場し、重要な役割を担っています。

感想

大江健三郎というと小難しいテーマや文章で、読むのに時間がかかるというイメージでしたが、本作は妹のマーちゃんの視点で描かれていて、とてもユーモラスです。まるで大江健三郎じゃないみたい!と思うはず。映画はその優しい雰囲気をそのままに、若手俳優たちが体当たりで演技をし、それをベテランが支えているような作りになっています。中でも素晴らしいのが渡部篤郎です。障害がありながらも真っ直ぐに純粋に生きている兄・イーヨーを好演しています。渡部篤郎と言えば、神経質な役や常に眉間に皺を寄せた役など暗い、渋い役が多い印象ですが、こんなに素直で美しいの役もできるのかと驚かされました。また、監督・伊丹十三の妻でもある宮本信子も脇役ながら素晴らしい演技を見せています。伊丹作品には欠かせない女優ですが、この作品ではほんの少しの出番しかありません。それでもものすごく存在感があるのはやはり大女優と言われる由縁でしょう。「静かな生活」というタイトルとは裏腹に、様々な事件がマーちゃんたち兄弟を襲います。ほのぼのと進むストーリーの中で、描かれるいくつかの事件は生々しく、やはり大江健三郎の原作であるなと感じさせられます。ですが見終わった後にはそれが彼らにとっての「静かな生活」なんだとわかり、心にぽっかりと穴が開いたような気持ちにさせられます。

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登場人物とスタッフ
渡部篤郎
映画「静かな生活」
映画「青春の門」
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映画「萌の朱雀」
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遠藤憲一
余貴美子
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ARB

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